2022年08月01日
【文化審議会答申】国宝・重要文化財(建造物)の指定について
サイト・ブログともに更新が滞ってしまい申し訳ありません。今更な感じではありますが、5月20日(金)の文化審議会において、「国宝・重要文化財(建造物)の指定について」の答申がありました。内容は以下の通りです。
【重要文化財】
・中谷家住宅(石川県鳳珠郡能登町字黒川) 5棟 主屋、離れ座敷、土蔵、奉公人部屋及び東塀、正面門(石川県鳳珠郡能登町)
・洲さき 3棟 主屋、客間棟、土蔵(岐阜県高山市)
・清水灯台 1基(静岡県静岡市)
・小栗家住宅 12棟 主屋、書院及び茶室、北座敷、西誓院、隠宅及び竹の間、辰巳蔵、乾蔵、文庫蔵、新蔵、道具蔵、表門(愛知県半田市)
・菅島灯台 1基(三重県鳥羽市)
・十二社神社本殿 1棟(奈良県大和高田市)
・吉野神宮 26棟、3基 本殿、祝詞舎、楽舎(2棟)、裏門及び透塀、神庫、拝殿、廻廊(2棟)、内玉垣、神門、神符授与所、宿衛舎、摂社御影神社本殿、摂社船岡神社本殿、摂社瀧櫻神社本殿、摂社拝殿、東門、外玉垣、表手水舎、裏手水舎、修祓所、神饌所、井戸屋形、制札屋形、大鳥居、裏鳥居、参集殿(奈良県吉野郡吉野町)
・耶馬渓橋 1基(大分県中津市)
【国宝(追加指定)】
・薬師寺東塔 附・古材 1540点(奈良県奈良市)
・唐招提寺金堂 附・古材 11点(奈良県奈良市)
・唐招提寺講堂 附・古材 53点(奈良県奈良市)
・唐招提寺鼓楼 附・古材 21点(奈良県奈良市)
・唐招提寺宝蔵 附・古材 4点(奈良県奈良市)
・唐招提寺経蔵 附・古材 9点(奈良県奈良市)
【重要文化財(追加指定)】
・旧千葉家住宅(岩手県遠野市綾織町)宅地の内 便所(岩手県遠野市)
・幡頭神社 2棟 境内社熊野社本殿、境内社神明社本殿(愛知県西尾市)
・不動寺本堂 1棟 背面突出部、礼堂、附・厨子及び須弥壇(滋賀県大津市)
今回も順当な答申といった感じですね。これまでの流れ通り、近代灯台の重文指定が進められています。また修理が終わった薬師寺の東塔や唐招提寺の国宝堂宇では、修理の際に再利用できず新材に取り換えられた古材が附けたりとして追加指定されています。
新指定で目を引くのが吉野山に鎮座する吉野神宮。近代神社の造営に携わった角南隆(すなみたかし)の初期作です。平安神宮、明治神宮に続き、今後も近代神社社殿群の重文指定は続いていくのではないかと思います。
国の名勝に指定されている耶馬渓に架かる耶馬渓橋は、観光促進を図るべく大正時代に築かれたもので、石橋としては日本一の長さ。近世より培われてきた石橋の技術を遺憾なく発揮しており、現在も耶馬渓のシンボル的な存在として親しまれています。
以上です。6月17日の文化審議会では「史跡等の指定について」の答申がありました。こちらも後ほど記事を作成したいと思います。
2022年01月01日
2021年の振り返り&2022年の目標
謹賀新年、明けましておめでとうございます! 今年も新型コロナに負けずテケテケと活動していきたいと思いますので、よろしくお願いします!
正月の恒例行事として、まずは去年の活動予定を振り返ってみましょう。一昨年と同様、去年も新型コロナによってかなり行動の制限を受けましたが、それでもタイミングを見計らいつつ一昨年よりは積極的に活動しました。
・旅チケットまでに新刊を作る→できました
旅行&地理ジャンルの同人誌即売会「旅チケット」に向けた新刊としてカブ遍路の本を作りました。20ページのさっくり読める内容です。BOOTHで通販もしていますので買ってください! お願いします!
ご購入はこちら→カブ遍路〜四国を丸ごと楽しむ旅行法〜
・閑古鳥旅行社の記事製作→頑張った
国宝建造物とル・ピュイの道の写真サイズの変更が完了。記事の新規掲載も多く、我ながら結構頑張ったなーという感じです。今年は新規掲載のみならず、10年以上前に書いた記事(かなり酷い)の加筆修正も進めていきたいと思っています。あとフランス人の道の写真リサイズもやらないとな。初心に返ってサイト更新頑張ります。
・九州旅行に出る→秋に行ってきました
緊急事態宣言が解除された10月にカブで九州を周ってきました。……が、暑くてしんどかったです。秋はどこにあるのといった感じで、近年で最高のデキという具合に日焼けしました。体力的にも精神的にも疲れ果て、予定を早めて帰宅の途に就きました。南九州の南国っぷりをナメていましたね。
・文化財マップアプリを作る→ほったらかし
一昨年の春にiPhoneアプリの制作を目的に買ったMacBookAir、去年はZOOMミーティングに使ったぐらいで、すっかり置物になり果ててしまっています。どうにかしたいという気持ちはありますが、行動に至る道筋は見えません。アプリ制作よりもサイト更新を優先しないとという感じです。
・自動車の免許を取りたい→ほったらかし
自動車の免許を取らなきゃと思いつつ、やはり行動は起こせませんでした。父親がだいぶ高齢になり、私が代わりに運転してやらなければというのに、ダメダメです。
――という感じでした。去年は秋の九州旅行の他にも、春、夏、冬の18切符で結構遠出しましたし、コロナ禍といいつつもそこそこ旅行ができたように思います。そんな去年を踏まえて、今年の目標を立ててみましょうか。
・旅チケットまでに新刊を作る
去年と同様、今年も3月5日(土)に旅チケットが開催されますので、それに向けて新刊を作ります。内容は「サンティアゴ巡礼路 フランス人の道 Vol.1」に決めました。もう10年前になるサンティアゴ巡礼ですが、私ならではの視点で本にまとめてみようと思います。ル・ピュイの道と同じく3部構成の予定で、Vol.1はサン=ジャン=ピエ=ド=ポールからブルゴスまでとなります。これから作業を始めますので、スケジュールはかなりカツカツな感じになりそうです。脱稿まで閑古鳥の記事は書けないかも。
・すべての記事を書き上げる
閑古鳥旅行社で取り扱っている国宝建造物・特別史跡と特別名勝・重伝建・重文景の記事を書き上げないとと思っています。これがこのサイトの基本なので。特別史跡と特別名勝はもう全部終わってますが、新たに指定される可能性はありますし。新指定があったらすぐ取材に行くくらいフットワーク軽くありたいですね。
・10年以上前の記事を手直し
去年の振り返りでも述べましたが、ずっと昔に書いたままの内容がうっすい記事がありますので、その手直しをしないとと思っています。新規作成よりは優先度が一段階低いですが、できるかぎり頑張ります。
・あっちこっち旅行!
すべての記事を書き上げるということは、取材に行かねばなりません。まだ未取材のものは交通が不便なところも多く、カブ旅行も必要でしょう。各シーズンの18切符も当然買います。とにもかくにも未取材の文化財を取材すべく、あっちこっち周りたいと思います。
・自動車の免許を取る
12月に咲く越前海岸の水仙畑を取材しなければいけないので、今年こそは自動車の免許を取りたいと思います。っていうか、いい加減、取れよ。
・体重を80kgまで落とす
健康診断で医者に「血圧計買いましょう!」と言われるくらいに高血圧です。体重もずっと増える一方で、先日は体重計のデジタル表示に88.8kgとゾロメが出て我が目を疑いました。とにかく減量しなきゃということで、年末から1時間くらいジョギングをしています。それを三日坊主にやめることなく続け、体重を80kgまで落とすということをここに宣言したいと思います。
――といったところです。要するに、今年は「旅行頑張るぜ!」ということです。新型コロナの拡散もだいぶ収まりましたし、できる限りの新型コロナ対策をして全部周り切らないと。新たなことを始めるのはそれからですね。
2021年12月18日
【文化審議会答申】史跡等の指定等について
昨日、12月17日(金)の文化審議会において、「史跡等の指定等」の答申がありました。内容は以下の通りです。
《史跡》
・三戸城跡【青森県三戸郡三戸町】
・柏木城跡【福島県耶麻郡北塩原村】
・八代海干拓遺跡【熊本県八代市】
《名勝》
・徳佐(サクラ)【山口県山口市】
《天然記念物》
・礼文島桃岩一帯の高山植物群落【青森県礼文郡礼文町】
・アケボノゾウ化石多賀標本【滋賀県犬上郡多賀町】
・東峰村の阿蘇4火砕流堆積物及び埋没樹木【岡山県朝倉郡東峰村】
《登録記念物(名勝地関係)》
・鍋山(南屏峡)【大分県豊後高田市】
《史跡の追加指定及び名称変更》
・田和山・神後田遺跡【島根県松江市】(田和山遺跡に神後田遺跡を追加する)
《重要文化的景観の追加選定及び名称変更》
・五島列島における瀬戸を介した久賀島及び奈留島の集落景観【長崎県五島市】(久賀島全域に奈留島の大串集落及び江上集落並びに周辺海域を追加する)
新指定文化財の中で特に興味深いのは「八代海干拓遺跡」でしょうか。明治後期から昭和初期に築かれた潮受け堤防と樋門から成り、八代海における干拓の歴史および近世から近代に至る干拓技術の発展を物語ります。
今回史跡になる干拓施設群のうち、明治期に煉瓦造と石造で築かれた旧郡築新地甲号樋門は重要文化財にも指定されており、またコンクリートが普及した昭和初期にあえて石造で築かれた郡築二番町樋門は国登録有形文化財です。
重要文化的景観(以下重文景)の新規選定はありませんでしたが、既選定の「久賀島の文化的景観」に奈留島北西部とその周辺海域が追加され、「五島列島における瀬戸を介した久賀島及び奈留島の集落景観」という名称に変更されました。
長崎県では『長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産』を世界遺産に推薦するにあたり、その前提条件にあたる各集落の法的な保存担保措置として重文景の選定が進められてきました。唯一、奈留島の江上集落だけは重文景に選定されておらず、江上天主堂の重要文化財指定の土地範囲、および五島市景観計画の景観重要地区を策定するのみで、集落の保存措置としては完全なものではありませんでした。

奈留島の江上集落にある江上天主堂(重要文化財)
今回の追加選定では、奈留島北西部の大串集落(古来からの仏教徒集落)と江上集落(潜伏キリシタン集落)を、瀬戸を隔てて隣接する久賀島の仏教集落群・潜伏キリシタン集落群と一体の文化的景観として評価することで、江上集落を含む範囲の追加選定が実現しました。これで江上集落も国レベルの高度な保存担保措置が完了したことになります。
さて、今回はコロナ禍の影響で全国的に調査があまり進まなかったのか、新指定の件数がなんだか寂しいなぁという印象です。毎回おなじみの四国遍路の追加指定もありませんでしたし。来年の文化審議会は1月の民俗文化財、3月の登録有形文化財、6月の史跡等と続きます。今後も様々な文化財が誕生すると良いですね。楽しみです。