2023年01月11日

【文化審議会答申】国宝・重要文化財(建造物)の指定について


 更新が滞ってしまい申し訳ありません。年をまたいでしまい今更ではありますが、10月12日(金)の文化審議会において、「国宝・重要文化財(建造物)の指定について」の答申がありました。内容は以下の通りです。

【国宝】
・勝興寺 2棟 本堂、大広間及び式台(富山県高岡市)

【重要文化財】
・尻屋埼灯台 1基(青森県下北郡東通村)
・佐藤家住宅 5棟 主屋、文庫蔵、味噌蔵、米蔵及び検査所、大工小屋(秋田県大仙市)
・富岡家住宅 2棟 主屋、書院(山梨県甲府市)
・名古屋テレビ塔 1基(愛知県名古屋市)
・外村家住宅 10棟 主屋、洋室、新座敷、湯殿、文庫蔵、新蔵、道具蔵、庭蔵、漬物部屋、前蔵(滋賀県東近江市)
・経ケ岬灯台 1基、1棟 灯台、旧第一物置(京都府京丹後市)
・住吉神社 4棟 東本殿、中本殿、西本殿、拝殿(兵庫県加西市)
・角長(加納家住宅) 11棟 主屋、土蔵、穀蔵、麹室、仕込蔵、醤油蔵、樽蔵、醤油蔵(喜多)、醤油蔵(南)、角蔵、辰巳蔵(和歌山県有田郡湯浅町)
・鍋島灯台 1基(香川県坂出市)

 高岡市伏木の勝興寺がついに国宝に。寛政7年(1795年)に建立された真宗の大規模仏堂です。以前から国宝になるのではと言われていましたが、23年続いていた大修理が2021年に完了したばかりのタイミングとは。私は2019年10月に訪れましたが、まだ境内を整備中で本堂と共に国宝になる「大広間及び式台」には近づくことができませんでした。なので近いうちに再訪します。


堂々たるたたずまいの勝興寺本堂

 重文は今回も明治期の灯台の指定が進められていますね。面白いところでは昭和29年(1954年)竣工の名古屋のテレビ塔が重文に。昭和33年(1958年)の東京タワーや 昭和31年(1956年)の大阪通天閣とかも(どちらも国登録有形文化財)そう遠くないうちに重文になりそうな気がしますな。

 醤油の産地である湯浅町の角長も重文に。重要伝統的建造物群保存地区に選定されている町並みの中核を成す醤油蔵です。販売もやっており、以前町並みを訪れた時に買ったらめちゃくちゃうまかったことを覚えています。また行きたいな。


かつて醤油の搬出が行われた堀に沿って角長の蔵が並ぶ

 以上です。今回もコロナの影響か件数は少なめ、重伝建の選定がなかったのは少し残念でした。またこれも今更感ありますが12月16日の文化審議会で「史跡等の指定について」の答申がありましたので、こちらも後ほど記事を作成したいと思います。

posted by きむら at 14:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財

2022年の振り返り&2023年の目標


 だいぶ遅くなってしまいましたが、明けましておめでとうございます。今年もテケテケと活動していきたいと思いますので、よろしくお願いします!

 正月の恒例行事として、まずは去年の活動予定を振り返ってみます。

・旅チケットまでに新刊を作る→できました

 3月の旅チケットまでに「サンティアゴ巡礼路 フランス人の道」のVol.1、夏コミまでにVol.2を作りました。……が、色々あって夏コミには参加できなかったので、冬コミで新刊として頒布しました。

 いずれもBOOTHの閑古鳥旅行社ページで販売していますので、どうぞよろしくお願いします。

・すべての記事を書き上げる→中途半端

 法隆寺や出雲大社など大物国宝建造物の記事は書けましたが、主に重要文化的景観の取材に行けずそれらは残ったままです。重要文化的景観は「智頭の林業景観」「奥出雲たたら製鉄及び棚田の文化的景観」「越前海岸の水仙畑」など公共交通では厳しくカブ(バイク)での取材が必要なものが多いので、なかなかに大変です。

・10年以上前の記事を手直し→手つかず

 新規の記事を優先しつつ昔の記事も手直しできたらなと思っていたのですが、まったく手を付けられませんでした。ダメダメです。

・あっちこっち旅行!→一昨年よりは行けず

 春にはカブで三重県まで行きましたが、秋のカブ旅行はできず。鉄道も3シーズンの18切符に加えて11月には鉄道150周年企画の東日本パスで青森まで行くことができました。……が、個人的にはイマイチ活動的になれなかった印象です。やっぱり秋に旅行できなかったのが尾を引いてる感じですかね。

・自動車の免許を取る→ほったらかし

 いつも早く取らなきゃと思ってはいるのですが、やはり去年も実行に移せず。ダメダメです。

・体重を80kgまで落とす→82kgで停滞

 一昨年の年末にランニングを始めましたが、それが原因で去年の年始に足が猛烈に痛くなり、以降まったく走ることはせず。それでも82kgまでは落ちましたが、80kgまではまだ遠い……。

 ――といった感じです。去年はなんだかネガティブな感じで終わってしまいましたが、今年はポジティブに行くべく目標を立ててみましょうか。

・旅チケットまでに新刊を作る

 今年も3月11日(土)に旅チケットが開催されますので、それに向けて新刊を作ります。サンティアゴ巡礼路の完結編になる「フランス人の道」のVol.3です。最初は冬コミ向けに作ろうとして断念した経緯があり、ちょっとだけ先行で作業が進んでますが、それでもスケジュールはカツカツになりそうです。

・すべての記事を書き上げる

 今年はやります。重文景もすべて取材します(越前海岸の水仙畑も12月にカブで行きます)。新たに指定・選定されたものも素早く取材に行けるよう頑張ります。

・10年以上前の記事を手直し

 こちらもできるかぎりやろうと思います。去年はサイト作成に十分な時間を割けなかったので、その分今年頑張ります。

・自動車の免許を取る

 いい加減、取れよ。取るよ。併せて二輪の免許も取るよ。

 ――去年の目標をそのまま継続って感じですが、新規にやりたいことがあんまり浮かんでこないんですよね。海外に行きたいですが、今は飛行機のチケットがめちゃくちゃ高いらしいので、それが落ち着かないことにはいかんとも。まぁ、今年は去年以上に旅行しようという、いつもの落としどころでしょうか。頑張ろう。

posted by きむら at 13:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

2022年08月01日

【文化審議会答申】史跡等の指定等について


 6月17日(金)の文化審議会において、「史跡等の指定等」の答申がありました。内容は以下の通りです。

《史跡》
・鎌倉街道上道【埼玉県入間郡毛呂山町】
・夕田墳墓群【岐阜県加茂郡富加町】
・芥川城跡【大阪府高槻市】
・郡山城跡【奈良県大和郡山市】
・新宮下本町遺跡【和歌山県新宮市】
・熊本藩高瀬米蔵跡【熊本県玉名市】
・轟貝塚【熊本県宇土市】
・里官衙遺跡【大分県大分市】
・立切遺跡・横峯遺跡【鹿児島県熊毛郡中種子町・南種子町】

《登録記念物(遺跡関係)》
・徳島堰【山形県韮崎市・南アルプス市】

《登録記念物(名勝地関係)》
・岡山氏庭園(養浩園)【茨城県常陸大宮市】
・法師庭園【石川県小松市】

《史跡の追加指定及び名称変更》
・綴喜古墳群 大住車塚古墳 八幡西車塚古墳 天理山古墳 飯岡車塚古墳【京都府八幡市・京田辺市】
・讃岐遍路道 曼荼羅寺道 善通寺境内 根香寺道 志度寺境内 大窪寺道【香川県さぬき市】
・伊予遍路道 観自在寺道 稲荷神社境内及び龍光寺境内 仏木寺道 明石寺境内 大寶道道 大寶道境内 岩屋寺道 岩屋寺境内 浄瑠璃地道 横峰寺道 横峰寺境内 三角寺奥之院道【愛媛県上浮穴郡久万高原町】

 飯盛山城に続き、最初の天下人こと三好長慶の居城であった中世山城「芥川城跡」が史跡指定です。飯盛山城はハイキングコースとして整備されていますが(意外と険しい山なので登るのは結構大変でした)、芥川城は私有地らしくまだあまりカッチリとした整備は行われていないという印象です。が、尾根を断ち切った堀切や曲輪群、石積の城門など見ることができました。何より主郭からは堺と京を結ぶ一帯を見渡すことができ、まさに畿内を統治するに最適な山だと体感できます。


芥川城跡の大手石垣


芥川城跡主郭からの眺め

 大和郡山藩の政庁であった近世城郭である「郡山城跡」も史跡に。筒井順慶が築城し、その後に豊臣秀吉の弟であり右腕であった豊臣秀長が畿内統治の拠点として大々的に整備した平山城です。近年天守台が修復・整備され、極楽橋が架けられるなど史跡公園としての整備が進んでいます。天守台には地蔵や墓石などの転用石も多く、大和には良い石切り場がなく周囲の寺院から石材をかき集めた様子がうかがえます。


近年修理され展望台となった郡山城跡の天守台


天守台を築くのに利用した転用石のひとつ「逆さ地蔵」

 個人的な毎度のお楽しみ、四国遍路関係では『讃岐遍路道』に「志度寺境内」が追加、『伊予遍路道』には「大寶寺境内」「岩屋寺境内」「浄瑠璃寺道」が追加されます。このうち浄瑠璃寺道は河合集落から高野集落へ続く「千本峠」の区間です(久万高原町教育委員会に確認しました)。荒れていると聞いていたのですが、近年整備されて現在は歩くことができるようになっているようです。遍路道の史跡指定は地権者との交渉など大変な労力が必要かと思いますが、少しずつ進めていっていただければと思います。

posted by きむら at 16:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財