2024年08月08日

【文化審議会答申】史跡名勝天然記念物の指定等について


 出遅れましたが、6月24日(月)の文化審議会における、「史跡名勝天然記念物の指定等」の答申についてです。内容は以下の通りです。

《特別史跡》
・福井洞窟【長崎県佐世保市】

《史跡》
・黒山の昔穴遺跡群【岩手県九戸郡九戸村】
・西方城跡【栃木県栃木市】
・上野国分尼寺跡【群馬県高崎市】
・デーノタメ遺跡【埼玉県北本市】
・坊の塚古墳【岐阜県各務原市】
・東氏館跡及び篠脇城跡【岐阜県郡上市】
・高尾山古墳【静岡県沼津市】
・物集女城跡【京都府向日市】
・平城貝塚【愛媛県南宇和郡愛南町】
・六郷山【大分県国東市・豊後高田市】

《名勝》
・鳥潟会館庭園【秋田県大館市】
・西氏庭園【石川県金沢市】

《登録記念物(遺跡関係)》
・菊池海荘宅跡【和歌山県有田郡湯浅町】

《登録記念物(名勝地関係)》
・海津東山温泉向瀧庭園【福島県会津若松市】
・日本万国博覧会記念公園日本庭園【大阪府吹田市】

《重要文化的景観》
・大谷の奇岩群と採石産業の文化的景観【栃木県宇都宮市】

《史跡の追加指定及び名称変更》
・古市古墳群 古室山古墳 赤面山古墳 大鳥塚古墳 助太山古墳 鍋塚古墳 城山古墳 峯ヶ塚古墳 墓山古墳 野中古墳 応神天皇陵古墳外濠外堤 鉢塚古墳 はざみ山古墳 青山古墳 蕃所山古墳 稲荷塚古墳 東山古墳 割塚古墳 唐櫃山古墳 松川塚古墳 浄元寺山古墳 白鳥陵古墳周堤 仲姫命陵古墳周堤 安閑天皇陵古墳周堤(安閑天皇陵古墳周堤【大阪府羽曳野市】を追加指定する)
・阿波遍路道 大日寺境内 地蔵寺境内 切幡寺境内 焼山寺境内 一宮道 常楽寺境内 恩山寺道 立江寺道 鶴林寺道 鶴林寺境内 太龍寺道 かも道 太龍寺境内 いわや道 平等寺道 平等寺境内 雲辺寺道(切幡寺境内【徳島県阿波市】を追加指定する)
・伊予遍路道 観自在寺道 稲荷神社境内及び龍光寺境内 仏木寺道 明石寺道 明石寺境内 大寶道道 大寶道境内 岩屋寺道 岩屋寺境内 浄瑠璃地道 浄瑠璃寺境内 八坂寺境内 浄土寺境内 繁多寺境内 横峰寺道 横峰寺境内 三角寺奥之院道(繁多寺境内【愛媛県松山市】を追加指定する)
・田主丸古墳群 田主丸大塚古墳 寺徳古墳 中原狐塚古墳 西館古墳 益生田古墳群(益生田古墳群【福岡県久留米市】を追加指定する)
・大島畠田遺跡 附 郡元西原遺跡(附として郡元西原遺跡【宮崎県都城市】を追加指定する)

 今回、史跡に指定されたものの多くは2023年に文化庁が公表した「指定相当の埋蔵文化財リスト」に記載されている遺跡です。これは極めて重要な近代化遺産である「高輪築堤」を全面保存できなかった反省を踏まえて作成されたリストで、「これに載せた遺跡は重要だから開発すんじゃねーぞ」とにらみを利かせるというか、まぁ、単純に史跡の候補地と言えるんじゃないかと思います。リストは定期的に更新されるようで、今後もこのリストに掲載されている遺跡が史跡に指定されていくことでしょう。

 さて、今回新たに「福井洞窟」が特別史跡になりました。佐世保と平戸の中間あたりに位置する、旧石器時代から縄文時代への変遷を示す岩陰遺跡です。2017年の加曾利貝塚に続く、64件目の特別史跡になります。私は2018年に「潜伏キリシタン関連遺跡」の取材途中に立ち寄りましたが、現在は福井洞窟ミュージアムもできたようですし、すぐ近くにある直谷城跡も凄いと聞きますし、また行かなきゃですね。


神社が祀られている「福井遺跡」の岩陰

 ひそかに毎回楽しみにしている四国遍路関係では、『阿波遍路道』に第10番札所の「切幡寺境内」、『伊予遍路道』に第50番札所の「繁多寺境内」が追加されました。遍路道の追加がないのはちょっと残念ですが、札所の指定が着実に増えていって何よりです。


長い石段を登ってたどりつく「切幡寺」

 重要文化的景観では「大谷の奇岩群と採石産業の文化的景観」が選定されました。宇都宮の郊外に位置する大谷地区は大谷石の産地であり、特別史跡および重要文化財の「大谷磨崖仏」や、名勝の「大谷の奇岩群」など大谷石由来の文化財があります。それらを含め、採石所や大谷石の建造物が残る集落などを包括する範囲が重文景になります。


大谷街道沿いに見られる大谷石造の石材店

 今回はこんなところでしょうか。閑古鳥旅行社を更新するため「福井洞窟」の取材もしなきゃですし、国東半島の「六郷山」の寺院群も気になりますし、できるだけ早いうちに九州へ行きたいんですが……いろいろあって旅行はしばらく無理そうな今日この頃です。

posted by きむら at 13:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財

2024年05月18日

【文化審議会答申】国宝・重要文化財(建造物)の指定および重伝建の選定について


 5月17日(金)に開催された文化審議会において、「国宝・重要文化財(建造物)の指定」および「重要伝統的建造物群保存地区の選定」の答申がありました。内容は以下の通りです。

《重要文化財》新指定
・旧岩淵水門 1基【東京都北区】
・旧小菅刑務所庁舎 1棟【東京都葛飾区】
・園城寺 5棟 観音堂、札所鐘楼、百体堂、観月舞台、絵馬堂【滋賀県大津市】
・對龍山荘 4棟 主屋、北土蔵、南土蔵、表門【京都府京都市】
・齋神社本殿 1棟【京都府綾部市】
・郭家住宅 10棟 洋館、診察棟、座敷、離れ、米蔵、東土蔵、南土蔵、風呂、外便所、表門及び石塀、土地【和歌山県和歌山市】
・旧大浜埼通航潮流信号所施設 1棟、3基 通航信号塔、昼間潮流信号機、夜間潮流信号塔(大浜埼灯台)、検潮器浪除塔【広島県尾道市】
・金刀比羅宮 12棟 本宮本殿・中殿・拝殿、本宮神饌殿、本宮直所、別宮本殿・中殿・拝殿、別宮神饌殿、祓除殿、南渡殿、神楽殿、御炊舎、神輿庫、神庫【香川県仲多度郡琴平町】

《国宝》追加指定
・法隆寺金堂 附・古材 3284点【奈良県生駒郡斑鳩町】

《重要文化財》追加指定
・菅野家住宅 3棟 離れ座敷及び台所、一番蔵及び四番蔵、二番蔵及び三番蔵、土地【富山県高岡市】
・旧山邑家住宅 土地【兵庫県芦屋市】

《重要伝統的建造物群保存地区》
・佐渡市小木町【新潟県佐渡市】
・須坂市須坂【長野県須坂市】

 東京は赤羽駅の近く、荒川と隅田川の分岐点に構えられた「旧岩淵水門」が重文になります。大正5年(1916年)に着工し、大正12年(1923年)に竣工した、当時としては先進的な鉄筋コンクリート造の近代水門です。

 同じく東京にある「旧小菅刑務所庁舎」も重文に。刑務所施設では「旧網走監獄」「旧奈良監獄」に続く3例目の指定です。網走監獄は木造、奈良監獄は煉瓦造ですが、昭和4年(1929年)竣工の小菅刑務所は鉄筋コンクリート造。近代における刑務所施設の変遷が追える感じで面白いですね。

 滋賀県の大津市にある「園城寺(三井寺)」は国宝に指定されている「金堂」「新羅善神堂」「勧学院客殿」「光浄院客殿」をはじめ、他にも数多くの建造物が重要文化財に指定されている古刹です。今回は境内の南側、西国三十三所観音霊場の第十四番札所として江戸時代中期から後期にかけて整備された「観音堂」を中心とする南院の建造物群が重文になります。

 寺社建築としては、「こんぴらさん」として有名な金刀比羅宮の中核を成す社殿群も重文に。金刀比羅宮は江戸時代建立の「旭社」「表書院及び四脚門」「裏書院」「旧金毘羅大芝居」が既に重文に指定されていますが、今回は明治の神仏分離による再整備で築かれた社殿群の指定です。


明治初頭に仏教要素を除いて築かれた「金刀比羅宮」の社殿群

 ここ数年は近代灯台の重文指定が続いていますが、今回も因島の北東にある「旧大浜埼通航潮流信号所施設」が指定の答申を受けました。正確には航行船舶の状況や潮流の方向を知らせていた施設(現在は灯台としても利用)ですが、灯台を含む航路標識施設の文化財に厚みが増した感じですね。

 重伝建の答申は「佐渡市小木町」「須坂市須坂」の2件。いずれも以前から重伝建を目指す動きがあった地区です。特に小木町は申請の状況をかなり細かく知ることができ、もうまもなく選定されるだろうというところでした。


宿根木に続き、佐渡で2件目の重伝建となる「小木町」の町並み

 須坂は結構前に選定を目指す動きがあり、私は2015年に現地の町並みを見に行きました。以降の動きはつかめてなかったのですが、このタイミングでの選定とは結構意外でした。須坂は道路の整備・拡張によって町並みが断片化されていた印象でしたが、十字に交差する旧街道沿いを中心に選定範囲をうまくまとめたみたいですね。


製糸業で繁栄した商家町の歴史を伝える「須坂」の町並み

 とまぁ、今回はこんな感じでしょうか。次回は6月第3金曜にある(と思われる)史跡名勝天然記念物の指定ですね。楽しみです。

posted by きむら at 10:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財

2024年01月01日

2023年の振り返り&2024年の目標


 明けましておめでとうございます。今年こそはキチンと活動していきたいと思いますので、何卒よろしくお願いします!

 まずは正月の恒例行事として、去年の活動予定を振り返りましょう。

・旅チケットまでに新刊を作る→できました

 「フランス人の道」の本が無事完結し、これにて2012年のサンティアゴ巡礼についてのすべてを本にすることができました。……が、それ以降は新刊を一冊も作れませんでした。

 特に冬コミはサークルカットで重伝建の本を予告したにも関わらず落としてしまい、閑古鳥旅行社の重伝建本を目当てにコミケに来たのに……という方も実際にいらっしゃったので猛省すべきです。予告した本は作れよ。

・すべての記事を書き上げる→ぜんぜんできませんでした

 なんと、おそろしいことにサイトの記事を一本も更新することができませんでした。いやなにしてたんだよお前。

・10年以上前の記事を手直し→ぜんぜんできませんでした

 新規の記事を一本も上げられなかったので、当然ながら過去記事にもまったく手を付けられていません。いい加減にしろよお前。

・自動車の免許を取る→取りました!

 6月から教習所に通い、8月に普通自動車免許を取得することができました。とりあえず若葉マークが取れるまで、運転の練習を続けようと思います。

 いやはや、なんていうか、サイトの更新ができてなさすぎて逆に笑えます。2023年の更新履歴を見るとたった2行ですよ。やる気あんのか。

 いちおう言い訳をしておきますと、日々のお金稼ぎ&月一本のデイリーポータルZ原稿作業をこなしつつ、1〜2月は新刊作り、5月までは旅行記の写真サイズ変更作業、8月までは自動車免許、さらには12月24日に開催された「相模野畑地灌漑用水(畑かん)」についての講義依頼をお受けしたことで、8〜12月は綾瀬市の民俗資料を片っ端から読み漁るなど(明治〜昭和前期までの綾瀬について知ることができ、非常に勉強になりました)、一年を通じてやることが多かったということもあります。

 またもうひとつ大きな出来事として、私が月一で寄稿しているデイリーポータルZの独立があります。それに伴い、私はしばらく休載させて頂くことになりました。

 ――それらを踏まえ、今年の目標を立ててみましょう。

・夏コミまでに新刊を作る

 新刊を作れず、重伝建本を目当てに冬コミに来ていただいた方をガッカリさせる結果になってしまいました。本当に申し訳がなく、お詫びを込めて改めて夏コミまでに重伝建の本を作ります。絶対に作ります。

・すべての記事を書き上げる

 今年こそやります。デイリーポータルZの連載もお休みとなり、他に予定もなく、時間はたっぷりあるのです。今年こそはサイトの作業を優先して勤しみます!

・昔の記事を手直し

 すべての記事を書いた後は昔の記事を手直しします。重伝建本の制作に向けて改めて調べ直すこともあるでしょうし、併せて既存記事の手直しもできればと思います。

・体重を80kgまで落とす

 11月の健康診断でなんらかの基準に引っかかったらしく、初めて別室に呼び出されて生活指導を受けました。今月出る結果次第ではさらに強い指導を受けることになるっぽいです。なんか面倒くさいので、健康状況を改善すべく、長らくサボっていたウォーキングを再開しました。

 毎日一時間歩き続けて一ヶ月以上が経ちましたが、体重は84kg前後からなかなか減りません。根気強く続ける必要があるのでしょう。なので頑張って一年続けてみて、できれば体重を80kgまで落としたいです。

 ――という感じでしょうか。まずはサイトの更新作業を基本にしつつ、ちょくちょく旅行にも出られたら。海外には今年も行けないでしょうが、そのぶん国内旅行を充実させたいです。特にカブで近隣県に行く日帰りや二日程度のツーリングを増やしたいですね。

posted by きむら at 18:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記