12月20日(金)の文化審議会における、「史跡名勝天然記念物の指定等」の答申についてです。内容は以下の通りです。
《史跡》
・松倉城【岐阜県高山市】
・前畑遺跡【福岡県筑紫野市】
・島原城跡【長崎県島原市】
・腰高遺跡【長崎県対馬市】
・臼杵城跡【大分県臼杵市】
・与論城跡【鹿児島県大島郡与論町】
《名勝》
・納池【大分県竹田市】
《登録記念物(名勝地関係)》
・明神山(送迎山)【奈良県北葛城郡王子町】
・丸井氏庭園【鳥取県倉吉市】
・上林の風穴【愛媛県東温市】
・穴井戸観音【大分県豊後高田市】
《史跡の追加指定及び名称変更》
・讃岐遍路道 曼荼羅寺道 甲山寺境内 善通寺境内 根香寺道 志度寺境内 大窪寺道(甲山寺境内【香川県善通寺市】を追加指定する)
・土佐遍路道 最御崎寺道 金剛頂寺道 金剛頂寺境内 神峯寺道 竹林寺道 禅師峰寺道 清瀧寺境内 青龍寺道 金剛福寺道 観自在寺道(最御崎寺道 金剛頂寺道観 金剛頂寺境内 神峯寺道【高知県室戸市】、金剛福寺道【高知県土佐清水市】を追加指定する)
前回の史跡答申と同様、今回の史跡指定も文化庁が公表している「指定相当の埋蔵文化財リスト」に記載されているものがほとんどでした。今後もリストに記載されている遺跡の史跡指定が進んでいくと思われます。
このリストは極めて重要な近代化遺産である「高輪築堤」を全面保存できなかった反省を踏まえて文化庁が作成したものですが、残念ながら高輪築堤と同様に我が国の鉄道の黎明期を示す「旧門司駅舎跡」の遺構が北九州市によって破壊されてしまいました。そのことについてどう考えているのか、文化庁に聞いてみたいです。
さて、今回は城跡の史跡指定が目立ちますね。島原半島の東部に位置する島原城跡は立派な石垣が特徴の近世城郭です。4万石の島原藩にしては立派過ぎる規模で、その建設費を担うため領民に重税を課し、それが島原の乱の切っ掛けになったとも言います。周囲を有力な外様大名に囲まれた島原藩は、それらを抑え込むための巨城が必要だったという事情もあるようです。実際、島原の乱の一揆勢を撃退していますし、堅城であったことは間違いありません。

シンプルな縄張りながらも堅牢な島原城
大分県の臼杵城跡は戦国時代に大友宗麟が築き、織豊時代から近世にかけて石垣で拡張された城跡です。現在は市街地と陸続きですが当初は海に囲まれた島で、主郭が西側から東側に変わるなど城郭の変遷が追える点も評価されています。

現在の主要な登城口である今橋口から見る臼杵城
毎回おなじみの四国遍路関係ですが、『讃岐遍路道』に第74番札所の「甲山寺境内」、『土佐遍路道』に第24番札所の最御崎寺へと上る遍路道が「最御崎寺道」として、第26番札所の金剛頂寺へと上る遍路道「金剛頂寺道」とその境内、金剛頂寺から下りる遍路道が「神峯寺道」として、第38番札所金剛福寺と第39番札所延光寺の分岐点にあたる真念庵とその前後の遍路道が「金剛福寺道」として追加されます。しばらくご無沙汰だった土佐遍路道が一気にきた感じですね。

石仏が並ぶ遍路道と真念庵
今回はこんなところです。なんとか年内に更新することができました。来年はもう少しスピード感を持ってサイトの更新に勤しみたいです。今年も一年ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。