2007年04月16日

親しみを持てる名の駅を訪ねて-前編


ある日、高尾に行くべく京王線に乗っていると、ある一つの駅の名が目に止まった。それは、山田駅。山田駅……なんて平凡な名前の駅だろうか。高尾駅についた後も、私はその山田駅のことがむしょうに気になってしかたがなかった。そのあまりにありきたりな名前の駅に、私は妙な親近感を覚えていた。

その後日、今度は長野県のしなの鉄道に田中駅という名の駅があることを発見した。田中駅。山田駅に続き、これまた普通の中の普通といった平凡な名前である。さては他にもこのような名前の駅があるのではないかとさらに探してみると、やはりあった。今度はJR成田線、小林駅。

山田、田中、小林。いずれもクラスに必ず一人はいるような、何気ない名前を持つ駅たちだ。その名を見れば見るほど、親しみを覚えずにはいられなくなってくる。その素性が知りたくなってくる。これらの駅は、一体どんな駅なのだろう。これらの駅は、どんなところにあるのだろう。一体何があるのだろう。

この春、そんな妙に親しみの持てる名の駅を訪ねてみた。そこには、その平凡な名からは想像できない、個性溢れる春の姿があった。

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なんとも平凡な名前の駅たちを訪ねる



まず始めに訪れたのは、一番初めに見つけた京王高尾線の山田駅。新宿から急行で一時間ほど、山田駅は東京都八王子市山田町にある。山田町にあるから山田駅、名前もさることながら、その名の付け方も平凡極まりない。

さて、八王子といえば巨大なベッドタウンや学園都市、というイメージがあるが、この山田駅は中心部からはずれているためか、賑やかさはほとんど無い。休日であったこの日は人もまばら、駅で下りたのも私を含めわずか数人しかいなかった。

親しみを持てる名の駅を訪ねて-01

山田駅の券売機は二つ

山田駅はその平凡な名前同様、いたって普通な印象を受ける駅である。駅ビルのようなものや、大きな商業施設といったものは全く無い。周辺には団地が建ち並び、それをさらに取り囲むように住宅地が広がっている。まさに典型的な郊外のベッドタウン、といった雰囲気の町である。

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山田歯科、そしてその後ろにあるのは高級洋菓子店モンゴル
高級洋菓子なのにモンゴル、というセンス


しばらく駅付近をうろうろした後、私は駅より南の方面へと歩いていった。住宅地の中を通る坂道を、ただぼんやりと下っていく。春の日差しはとても暖かい。ぽかぽかしてて気持ちの良い陽気である。まさに、のんびり歩くにもってこいの日和であろう。

足取り軽く坂道を下り終え、そのまままっすぐ進んでいくと、私の目の前に緑豊かな川原が広がった。

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淡い黄色が川原を包む

この川は、湯殿川というそうだ。川自体の規模はそれほど大きなものではないが、河川敷は広く取ってあり、そこにはまだ春先だというにもかかわらず、既に多くの草花が茂っていた。中でも黄色く咲き乱れる菜の花は見事である。誰かが種を撒いたのか、それとも自然に繁殖したのか、淡い黄色の菜の花は、この川原に穏やかな暖かみを与えてくれているようだ。

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湯殿川に沿って梅の木が並ぶ

また、川沿いには遊歩道が設けられており、そこには梅の木が立ち並んでいた。ちょうど梅の花の時期ということもあり、白やピンクといったかわいらしい梅の花が枝々に咲き誇っている。ふと足を止めその花に見入っていると、どこからともなく鳥の声が聞こえてきた。あぁ、なんと風流なひと時だろうか。

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なんともかわいらしい梅の花

それにしても、山田駅周辺ではこのような梅の木をあちらこちらに見ることができる。それは民家の庭先に植えられているようなレベルではなく、この川沿いの梅のようにまとまって植えられていることが多いようだ。同じく八王子市の高尾は、高尾梅郷と呼ばれるほどに梅が有名らしいが、この辺りの梅もまた有名であっても不思議ではないくらいの咲き栄えである。

梅をはじめ、山田には花がいっぱいだ。この花の美しさは、山田駅から出た時から感じていた太陽のぬくもりと無関係では無いだろう。この暖かな日差しを浴びて、山田の花々は咲いているに違いない。

また、この日のぬくもりを感じているのは、どうやら花だけではないようだ。

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ぽかぽか陽気にまどろむねこ
ねこもくつろぐこのお宅は……


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なんと山田の山田さん

休日の午後、川原には花が咲き乱れ、庭先ではねこが幸せそうな寝顔を見せている。なんて春らしい春なんだろう、そう思った。まさに、我々が思い浮かべるような春がこの山田には存在した。

山田の春は、やわらかな日差しと淡い花が、穏やかな眠りを誘う、春。



posted by きむら at 11:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | コネタ
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