2007年01月28日

廃造船所で行われる、まつり-前編


神奈川県横須賀市浦賀。ここは幕末、かのペリー提督が黒船で来航した開国の地である。

その浦賀の中心地、浦賀湾の一番奥まった場所に住友重機械工業浦賀造船所がある。2003年に閉鎖されてしまったこの造船所は、通常一般人が入ることはできない。しかし、年に一度だけ、ここが開放されれる日がある。それは「中島三郎助まつり」だ。

この「中島三郎助まつり」がおもしろいのである。祭りの規模は小さなものでせいぜい市内の住民が集まる程度なのだが、これが、ホント、おもしろい。



祭りが始まるのは10時なのだが、私が京浜急行浦賀駅に着いたのは9時40分ぐらい。会場の造船所入口まで駅から徒歩5分程度なので、45分には会場に着いてしまった。

中島三郎助まつり-01

会場である住友重機械工業浦賀造船所入口
人がまばらなのはまだ開始前の時間であるためだ


しかし、なんというか、既に門の前から普通の祭りには無い雰囲気がヒシヒシと感じられる。一応特設の風船門をつけて祭りっぽい感じを出してはいるものの、それはやはりどこからどう見ても工場である。ハッピよりも薄緑色の作業服が似合いそう。

10時までこの門の前で待とうと思ったが、時間前にも関わらず一般人と思わしき人々が普通に中へと入っていくではないか。会場内も既に多くの人で賑わっている模様。とりあえず私も入ってみたが、特に係員は何も言わず会場内に通してくれた。いかにも地域のお祭りといったようなおおらかさだ(いい加減とも言うかもしれない)。

中島三郎助まつり-02

会場内もやっぱり工場

メイン会場の機関工場に入ったその瞬間、私は思わず「おぉ」と声を上げた。目の前に広がる巨大な空間、窓から入り込む淡い光、組み上げられた鉄骨、トラスの構造体、古びたクレーン。そこにはまさに「THE・工場」と言わんばかりの光景があった。否応なしにテンションが上がる。

中島三郎助まつり-03

このような光景や

中島三郎助まつり-04

こういった光景

中島三郎助まつり-05

こんな光景を見ることができる

いやぁ、素晴らしい。こう大手を振って見学ができる工場なんてそうはないだろう。しかもこの工場の建物は昭和12年ごろに建てられた歴史ある建造物なのだ。備わっているクレーンなどの設備もまた古く、この整備工場だけでも非常に見ごたえがある。



そうこうしている間に、工場の奥からマイクの声が聞こえてきた。どうやらオープニングセレモニーが始まったらしい。

中島三郎助まつり-06

横須賀副市長の挨拶(市長は来なかった)

ステージは、何か妙な雰囲気に包まれていた。工場内でこういった式を行うというのも充分妙なことではあるのだが、それをさらに違和感あるものにしているのは、やはり真中にぶら下がっている緑色の肖像画であろう。

中島三郎助まつり-07

やや顔色が悪い本日の主役

この人物こそ、この祭りの名前にもなっている中島三郎助その人である。 浦賀奉行組与力であった三郎助は、ペリーが来航した際に一番初めにペリーに交渉をした人物だ。その後は日本初の洋式軍艦を造ったりと活躍したが、戊辰戦争が勃発した際に幕府側として新政府軍と戦い、函館で二人の息子と共に討ち死にした。今でも函館には中島町という町の名が残っている。

来賓挨拶の後、「中島三郎助と遊ぶ会」の会長が壇上でそのように説明してくれた。しかし「中島三郎助と遊ぶ会」というのも、またなんとも。

中島三郎助まつり-08

中島三郎助を称える浪曲

続いて浪曲の披露が行われた。どうやらこれは中島三郎助を称えるための浪曲らしい。「なかぁ〜じまぁ〜さぶろぉ〜すけぇ〜」巨大な工場の中でお年よりの浪曲が響き、その頭上には緑色の中島三郎助がたたずんでいる。……なんとも表現しがたい、シュールな光景だ。



11時近くになり、私は機関工場から出た。その奇妙な雰囲気に圧倒されたというのもあるのだが、それとは別に目的があったのだ。11時からは、第一号船渠(せんきょ)を巡るツアーが開催される。

何を隠そう、私がこの中島三郎助まつりに参加した最たる理由は、浦賀の第一号船渠(通称浦賀ドック)の見学なのである。



posted by きむら at 20:23 | Comment(1) | TrackBack(0) | コネタ
この記事へのコメント
TITLE: 懐かしいっす。
SECRET: 1
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住重はボート屋があの中に有ったので良く行きましたね。
ヨットの船底塗ったり、レースだったりで。
事務所が戦争中の建物みたいでカッコよかったです。
護衛艦(小さいやつ)がドックに入ってても平気でウロウロできたような気がします。
Posted by ボーリ at 2007年05月07日 20:54
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