出遅れましたが、6月24日(月)の文化審議会における、「史跡名勝天然記念物の指定等」の答申についてです。内容は以下の通りです。
《特別史跡》
・福井洞窟【長崎県佐世保市】
《史跡》
・黒山の昔穴遺跡群【岩手県九戸郡九戸村】
・西方城跡【栃木県栃木市】
・上野国分尼寺跡【群馬県高崎市】
・デーノタメ遺跡【埼玉県北本市】
・坊の塚古墳【岐阜県各務原市】
・東氏館跡及び篠脇城跡【岐阜県郡上市】
・高尾山古墳【静岡県沼津市】
・物集女城跡【京都府向日市】
・平城貝塚【愛媛県南宇和郡愛南町】
・六郷山【大分県国東市・豊後高田市】
《名勝》
・鳥潟会館庭園【秋田県大館市】
・西氏庭園【石川県金沢市】
《登録記念物(遺跡関係)》
・菊池海荘宅跡【和歌山県有田郡湯浅町】
《登録記念物(名勝地関係)》
・海津東山温泉向瀧庭園【福島県会津若松市】
・日本万国博覧会記念公園日本庭園【大阪府吹田市】
《重要文化的景観》
・大谷の奇岩群と採石産業の文化的景観【栃木県宇都宮市】
《史跡の追加指定及び名称変更》
・古市古墳群 古室山古墳 赤面山古墳 大鳥塚古墳 助太山古墳 鍋塚古墳 城山古墳 峯ヶ塚古墳 墓山古墳 野中古墳 応神天皇陵古墳外濠外堤 鉢塚古墳 はざみ山古墳 青山古墳 蕃所山古墳 稲荷塚古墳 東山古墳 割塚古墳 唐櫃山古墳 松川塚古墳 浄元寺山古墳 白鳥陵古墳周堤 仲姫命陵古墳周堤 安閑天皇陵古墳周堤(安閑天皇陵古墳周堤【大阪府羽曳野市】を追加指定する)
・阿波遍路道 大日寺境内 地蔵寺境内 切幡寺境内 焼山寺境内 一宮道 常楽寺境内 恩山寺道 立江寺道 鶴林寺道 鶴林寺境内 太龍寺道 かも道 太龍寺境内 いわや道 平等寺道 平等寺境内 雲辺寺道(切幡寺境内【徳島県阿波市】を追加指定する)
・伊予遍路道 観自在寺道 稲荷神社境内及び龍光寺境内 仏木寺道 明石寺道 明石寺境内 大寶道道 大寶道境内 岩屋寺道 岩屋寺境内 浄瑠璃地道 浄瑠璃寺境内 八坂寺境内 浄土寺境内 繁多寺境内 横峰寺道 横峰寺境内 三角寺奥之院道(繁多寺境内【愛媛県松山市】を追加指定する)
・田主丸古墳群 田主丸大塚古墳 寺徳古墳 中原狐塚古墳 西館古墳 益生田古墳群(益生田古墳群【福岡県久留米市】を追加指定する)
・大島畠田遺跡 附 郡元西原遺跡(附として郡元西原遺跡【宮崎県都城市】を追加指定する)
今回、史跡に指定されたものの多くは2023年に文化庁が公表した「指定相当の埋蔵文化財リスト」に記載されている遺跡です。これは極めて重要な近代化遺産である「高輪築堤」を全面保存できなかった反省を踏まえて作成されたリストで、「これに載せた遺跡は重要だから開発すんじゃねーぞ」とにらみを利かせるというか、まぁ、単純に史跡の候補地と言えるんじゃないかと思います。リストは定期的に更新されるようで、今後もこのリストに掲載されている遺跡が史跡に指定されていくことでしょう。
さて、今回新たに「福井洞窟」が特別史跡になりました。佐世保と平戸の中間あたりに位置する、旧石器時代から縄文時代への変遷を示す岩陰遺跡です。2017年の加曾利貝塚に続く、64件目の特別史跡になります。私は2018年に「潜伏キリシタン関連遺跡」の取材途中に立ち寄りましたが、現在は福井洞窟ミュージアムもできたようですし、すぐ近くにある直谷城跡も凄いと聞きますし、また行かなきゃですね。

神社が祀られている「福井遺跡」の岩陰
ひそかに毎回楽しみにしている四国遍路関係では、『阿波遍路道』に第10番札所の「切幡寺境内」、『伊予遍路道』に第50番札所の「繁多寺境内」が追加されました。遍路道の追加がないのはちょっと残念ですが、札所の指定が着実に増えていって何よりです。

長い石段を登ってたどりつく「切幡寺」
重要文化的景観では「大谷の奇岩群と採石産業の文化的景観」が選定されました。宇都宮の郊外に位置する大谷地区は大谷石の産地であり、特別史跡および重要文化財の「大谷磨崖仏」や、名勝の「大谷の奇岩群」など大谷石由来の文化財があります。それらを含め、採石所や大谷石の建造物が残る集落などを包括する範囲が重文景になります。

大谷街道沿いに見られる大谷石造の石材店
今回はこんなところでしょうか。閑古鳥旅行社を更新するため「福井洞窟」の取材もしなきゃですし、国東半島の「六郷山」の寺院群も気になりますし、できるだけ早いうちに九州へ行きたいんですが……いろいろあって旅行はしばらく無理そうな今日この頃です。