2018年10月30日

国宝・重要文化財(建造物)の指定について


 2018年10月19日(金)に開催された文化審議会で「国宝・重要文化財(建造物)の指定について」の答申がありました(→文化庁サイト)。内容は以下の通りです。

【国宝】
・玉陵(沖縄県那覇市)

【重要文化財】
・旧相馬家住宅(北海道函館市)
・大前神社 本殿、拝殿及び幣殿(栃木県真岡市)
・曹源寺栄螺堂(群馬県太田市)
・旧田中家住宅(埼玉県川口市)
・伊藤家住宅(新潟県糸魚川市)
・武知家住宅(徳島県名西郡石井町)
・有馬家霊屋(福岡県久留米市)
・旧田代家西洋館(佐賀県西松浦郡有田町)

【重要文化財(追加指定)】
・旧笹浪家住宅(北海道桧山郡上ノ国町)

 首里城に隣接する「玉陵(たまうどぅん)」が沖縄県初の国宝建造物に指定されます。1501年に築かれた石造の琉球王国の陵墓で、琉球式の破風墓として最古にして最大の例。独自の発展を遂げた琉球王国の建築と墓制を示す、極めて完成度の高い陵墓として評価されました。その敷地は国の史跡に指定されており、世界遺産『琉球王国のグスク及び関連遺産群』の構成資産にも含まれています。


石造の陵墓である「玉陵」

 古さ、規模、質のいずれも国宝に足りうる存在ですが、正直なところ、答申時はかなり意外なところが来たと思いました。石造の陵墓ということで、建造物というよりモニュメント的な感覚で捉えていたのかもしれません。石造という点でも、陵墓という点でも、国宝建造物としては初めての指定です。

 近年は国宝建造物を持たない県の重要文化財が国宝に昇格されるケースが多いので、これもその流れの一環と言えるのでしょう。かつて首里城には正殿などの建造物が国宝(ただし文化財保護法制定前のいわゆる旧国宝)に指定されていましたが、太平洋戦争ですべて焼失してしまいました。玉陵は現存する琉球建築の代表例となり、それもまた国宝の指定に繋がったのかもしれません。

 17世紀末から宝永4年(1707年)にかけて築かれた「大前(おおさき)神社」の社殿は、極彩色の彫刻や地紋彫などで装飾されており、関東地方における装飾建築の先駆例として重要文化財に指定されます。これを皮切りに装飾建築が庶民へと普及し、国宝の「歓喜院聖天堂」で完成をみました。

 栄螺堂といえば会津若松のものが有名ですが、太田市にある曹源寺の本堂もまた同様の形式であり重要文化財に指定されます。堂内を螺旋状に上って下ることで観音巡礼ができる栄螺堂は庶民に人気を博したことから関東以北に多く建てられました。特に曹源寺のものは現存最古級かつ最大規模の例とのことです。

posted by きむら at 14:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財
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