12月16日(金)の文化審議会において、「史跡名勝天然記念物の指定等」の答申がありました。内容は以下の通りです。
《史跡》
・鍋倉城跡【岩手県遠野市】
・旧東田川郡役所及び郡会議事堂【山形県鶴岡市】
・烏山城跡【栃木県那須烏山市】
・山王塚古墳【埼玉県川越市】
・南比企窯跡【埼玉県比企郡鳩山町】
・佐伯城跡【大分県佐伯市】
・奄美大島要塞跡【鹿児島県大島郡瀬戸内町】
《登録記念物(名勝地関係)》
・清水氏庭園【岡山県笠岡市】
・黒ヶ浜及びビシャゴ岩【大分県大分市】
《史跡の追加指定及び名称変更》
・伊予遍路道 観自在寺道 稲荷神社境内及び龍光寺境内 仏木寺道 明石寺境内 大寶道道 大寶道境内 岩屋寺道 岩屋寺境内 浄瑠璃地道 浄瑠璃寺境内 浄土寺境内 横峰寺道 横峰寺境内 三角寺奥之院道【愛媛県松山市】(浄瑠璃寺境内及び浄土寺境内を追加指定する)
・八幡浜街道 笠置峠 夜昼峠【愛媛県大洲市・八幡浜市】(夜昼峠を追加指定する)
・鹿児島城跡【鹿児島県鹿児島市】(天然記念物及び史跡の城山に史跡の追加指定を行い、鹿児島城跡に名称変更する)
《重要文化的景観の新選定》
・緒方川と緒方盆地の農村景観【大分県豊後大野市】
《重要文化的景観の追加選定及び名称変更》
・阿蘇の文化的景観 阿蘇北外輪山及び中央火口丘群の草原景観【熊本県阿蘇市】
(旧名称:阿蘇の文化的景観 阿蘇北外輪山の草原景観)
《重要文化的景観の追加選定》
・阿蘇の文化的景観 産山村の農村景観【熊本県阿蘇郡産山村】
今回の新指定史跡で私が行ったことがあるのは「佐伯城跡」。江戸時代初頭に築かれた佐伯藩の本拠で、小高い山の上に高石垣を伴う山城が、その麓には藩主の居住域であった三の丸が位置しています。

山頂部に見事な石垣が残っていて目を見張った「佐伯城跡」
毎回個人的に楽しみにしている四国遍路関係ですが、『伊予遍路道』に第46番札所の浄瑠璃寺境内、第49番札所の浄土寺境内が追加されました。また九州方面からの玄関口であった八幡浜から続く『八幡浜街道』に、大洲方面へ向かう夜昼峠が追加。世界遺産を目指している四国遍路の道のりはまだまだ長いですが、少しずつ指定対象が増えていって嬉しい限り。

江戸時代の札所の風情を伝える「浄土寺」
本堂は室町時代の文明14年(1482年)に築かれたもので重要文化財
また同じく世界遺産を目指している『阿蘇の文化的景観』ですが、阿蘇市の北外輪山東側と阿蘇五岳の北側が追加され選定範囲がおよそ倍になりました。まだ範囲図を見てないですが、これで阿蘇市の草原はだいぶカバーできたのではないかと思います。産山村も北外輪山の草原が追加され、面積が増えています。……が、世界遺産になるには、まだまだ選定範囲を広げる必要があります。私は阿蘇の草原には世界遺産のポテンシャルが十分あると思ってますので、阿蘇市以外の町村も頑張っていただきたいです。
重文景の新選定は阿蘇の東側に位置する『緒方盆地の農村景観』。実は2021年に阿蘇を取材した際、緒方にあるキャンプ場に泊まっていたのでその際に立ち寄ってました。……が、当時は重文景になるとは知らなかったので取材はしていません。また行かなければ。

緒方盆地の象徴である「原尻の滝」

阿蘇溶結凝灰岩をくりぬいた「石風呂」など独自の文化も
――と、今回はこんな感じでしょうか。今年も文化審議会は1月の民俗文化財、3月の登録有形文化財、6月の史跡等と続いていくことでしょう。どのような文化財が登場するのか楽しみです。