昨日四国旅行から帰ってきました。10月16日(金)(私が四国八十八箇所すべてを周り終えた日でもあります)に開催された文化審議会において、「国宝・重要文化財(建造物)の指定について」および「重要伝統的建造物群保存地区の選定について」の答申がありました。内容は以下の通りです。
【国宝】
・八坂神社本殿 1棟(京都府京都市)
【重要文化財】
・旧札幌控訴院庁舎 1棟(北海道札幌市)
・犬吠埼灯台 1基、2棟 灯台、旧霧笛舎、旧倉庫(千葉県銚子市)
・明治神宮 36棟 本殿、内拝殿及び祝詞殿、内院渡廊(2棟)、外拝殿、宝庫、神庫、内透塀及び北門、神饌所及び渡廊、旧祭器庫、北廻廊(2棟)、外透塀(3棟)、北神門、外院廻廊(4棟)、東神門、西神門、南神門、宿衛舎、玉垣(4棟)、祓社、南手水舎、西手水舎、東手水舎、神橋、南制札、北制札、西制札(東京都渋谷区)
・旧神奈川県立近代美術館 1棟(神奈川県鎌倉市)
・旧山岸家住宅 4棟 主屋、板倉、味噌蔵、浜蔵、土地(石川県白山市)
・旧中村家住宅 2棟 主屋、土蔵(長野県塩尻市)
・坂戸橋 1基(長野県上伊那郡中川村)
・八勝館 9棟 玄関棟、松の間棟、御幸の間棟、新座敷棟、菊の間棟、田舎家、正門、西門、中門、土地(愛知県名古屋市)
・紅葉谷川庭園砂防施設 1所(広島県廿日市市)
・六連島灯台 1基(山口県下関市)
・角島灯台 1基、2棟 灯台、旧官舎、旧倉庫(山口県下関市)
・犬伏家住宅 15棟 主屋、座敷、応接室、書斎、宝庫、離座敷、北蔵、乾蔵、味噌蔵、機械工場、五番蔵、東蔵、巽蔵、前納屋、表門、土地(徳島県板野郡藍住町)
・部埼灯台 2基、1棟 灯台、旧官舎、旧昼間潮流信号機(福岡県北九州市)
・旧伊藤家住宅 7棟 主屋、表物置、道具蔵、骨董蔵、事務室、書生室、長屋門(福岡県飯塚市)
・西海橋 1基(長崎県佐世保市、西海市)
・旧綱ノ瀬橋梁及び第三五ヶ瀬川橋梁 2基 旧綱ノ瀬橋梁、第三五ヶ瀬川橋梁(宮崎県延岡市、日之影町)
【重要文化財(追加指定)】
・八坂神社 26棟 疫神社本殿、悪王子社本殿、美御前社本殿、大国主社本殿、玉光稲荷社本殿、日吉社本殿、太田社本殿、大年社本殿、十社本殿、五社本殿、冠者殿社本殿、四条旅所本殿(2棟)、大政所社本殿、俣旅社本殿、舞殿、神饌所、透塀、神馬舎、神輿庫、絵馬堂、西手水舎、南手水舎、西楼門翼廊(2棟)、南楼門(京都府京都市)
・遠山家住宅 3棟 米蔵、借物蔵、長屋門、土地(京都府亀岡市)
【重要伝統的建造物群保存地区】
・高岡市吉久(富山県高岡市)
・津山市城西(岡山県津山市)
・矢掛町矢掛宿(岡山県小田郡矢掛町)
祇園祭であまりに有名な京都「八坂神社」の本殿が国宝、そして既指定の3棟に26棟が追加され社殿群の大部分が重文に。本殿は江戸時代前期の建立ですが、平安時代の建築手法をもって鎌倉時代に成立した本殿様式が高く評価されました。社殿群も八坂神社固有のものが多く、実にユニーク。

八坂神社には2008年の冬に訪れた切りなので、また行かねば
「明治神宮」もまた社殿群が一括して重文に。元は伊藤忠太の設計指導により大正9年(1920年)に築かれましたが太平洋戦争で焼失。現在のものは昭和33年(1958年)の再建です。同じく昭和前期の建築として、昭和26年(1951年)の「旧神奈川県立近代美術館」もまた重文に。鎌倉の鶴岡八幡宮境内にあり、ル・コルビュジェの弟子である坂倉準三が設計した、日本におけるモダニズム黎明期の作品です。
他にも犬吠埼灯台をはじめとする明治初頭の灯台4基の重文指定も特筆すべきところでしょう。これまで灯台で重文になっているのは愛知県の明治村に移築された「旧品川燈台」だけで(伊豆の「神子元島燈台」と大阪堺の「旧堺燈台」は史跡指定)、現役の灯台が重文になるのはこれが初です。
重伝建の新選定は、加賀藩の御蔵が置かれていた物資の集散地「高岡市吉久」と、津山城下の寺町と商家町からなる「津山市城西」、山陽道の宿場町「矢掛町矢掛宿」の3件。いずれも以前から選定に向けた動きがあった地区で、まぁ、順当な感じですね。

通りに面して切妻造平入の町家が並ぶ「高岡市吉久」
高岡市は「山町筋」「金屋町」に次ぐ3件目、津山市は「城東」に次ぐ2件目で、それぞれ城下町における町並み保護の厚さが増した感じです。

妻入と平入の町家が混在する「矢掛町矢掛宿」には本陣と脇本陣が揃って残る
次の文化財答申は11月20日(金)の史跡等指定でしょうか。楽しみですね。