2019年11月01日

【文化審議会答申】重要文化財(建造物)の指定および重伝建の選定について


 うっかりもう先月になってしまいましたが、私が北陸を旅行していた最中の10月18日(金)に開催された文化審議会において、「重要文化財(建造物)の指定について」および「重要伝統的建造物群保存地区の選定について」の答申がありました。内容は以下の通りです。

【重要文化財】
・塩原家住宅 主屋、裏蔵、稲荷社、土地(群馬県前橋市)
・水準原点 原点、掩蓋(東京都千代田区)
・旧島津家本邸 本館、事務所(東京都品川区)
・神奈川県庁舎(神奈川県横浜市)
・金剛寺 五仏堂、薬師堂、閼伽井屋、護摩堂、法具蔵、求聞持堂、開山堂、宝蔵、経蔵、弁財天社本殿、八大龍王善女龍王社本殿、天照皇大神社本殿、築地塀(2所)、鎮守水分明神社本殿、鎮守丹生高野明神社本殿、鎮守社拝殿、鎮守社鐘楼、旧理趣院表門、旧真福院表門、南門、総門(大阪府河内長野市)
・徳善家住宅(徳島県三次市)

【重要文化財(追加指定)】
・喜多家住宅 作業場、酒蔵、前蔵、貯蔵庫(石川県野々市市)
・摩尼院 表門、築地塀(大阪府河内長野市)
・木村家住宅 隠居屋、土地(徳島県三次市)

【重要伝統的建造物群保存地区】
・たつの市龍野(兵庫県たつの市)
・南さつま市加世田麓(鹿児島県南さつま市)

 国会議事堂の前、憲政記念館の庭園にある「水準原点」が重文に。日本国土の標高を測った水準測量の原点です。お恥ずかしながら、国会議事堂の前にそのようなモノがあるとは知りませんでした。水準点は掩蓋に覆われており普段は見ることができませんが、年に一度測量の日あたりに一般公開があるらしいので、来年行ってみたいと思います。

 横浜三塔のうち「キングの塔」こと昭和3年(1928年)に建てられた神奈川県庁舎がついに重文に。鉄骨鉄筋コンクリートの近代建築に和風の装飾を施した、いわゆる帝冠様式の代表格です。同様の帝冠様式である愛知県庁舎や名古屋市庁舎、東京国立博物館本館は既に重文なので、ようやくかって感じです。


どっしりと威厳あるたたずまいの「神奈川県庁舎」

 大阪府河内長野市の大寺院「金剛寺」は金堂や御影堂、楼門など主要な堂宇は既に重文ですが、その脇を固める諸堂もまとめて重文になります。……っていうか、なぜか新指定扱いなんですよね、コレ。既指定のお堂はそれぞれ個別の重文指定だからでしょうか。改めて「金剛寺」のくくりでまとめて、追加指定扱いにすれば良いのにと思うのですが。なぜそうしないのか、謎だ。

 重伝建の新選定は薄口醤油の醸造で栄えた「龍野」と、薩摩藩の外城であった「加世田麓」。龍野は前々から動きがあったので、やっぱり来たかという感じですね。広島県の宮島も重伝建に向けて動いていたのでそろそろかと思ったのですが、こちらは今回じゃなかったみたいで。次回かな?

 次の文化財答申は、おそらく11月15日(金)の史跡等指定ですね。以前より動きがあった「勝沼のブドウ畑とワイナリー群」の重要文化的景観の選定はくるかな? 楽しみです。

posted by きむら at 16:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財