2019年06月22日

史跡等の指定等について


 2018年6月21日(金)に開催された文化審議会で「史跡等の指定等について」の答申がありました(→文化庁サイト)。内容は以下の通りです。

【史跡】
・伊達氏梁川遺跡群(福島県伊達市)
・岩櫃城跡(群馬県吾妻郡東吾妻町)
・下総佐倉油田牧跡(千葉県香取市)
・墨古沢遺跡(千葉県印旛郡酒々井町)
・本ノ木・田沢遺跡群 本ノ木遺跡 田沢遺跡 壬遺跡(新潟県中魚沼郡津南町・十日町市)
・水軒堤防(和歌山県和歌山市)
・若杉山辰砂採掘遺跡(徳島県阿南市)
・紫雲出山遺跡(香川県三豊市)

【名勝】
・西山氏庭園(青龍庭)(大阪府豊中市)
・満濃池(香川県仲多度郡まんのう町)

【天然記念物】
・青野山(島根県鹿足郡津和野町)

【登録記念物】
・旧林氏庭園(愛知県一宮市)
・八束氏庭園(愛媛県松山市)
・平田氏庭園(大分県中津市)

【重要文化的景観】
・今帰仁今泊のフクギ屋敷林と集落景観(沖縄県国頭郡今帰仁村)

 真田氏の本拠地である上田城と、北関東の重要拠点である沼田城を繋ぐ交通の要衝に位置する群馬県の「岩櫃城跡」。四月に続100名城巡りで訪れたばかりなので記憶に新しいです。岩櫃山の中腹に築かれている山城で、主郭を中心に竪堀や横堀が巡らされています。城自体も素晴らしいのですが、岩櫃城へと至る未舗装の山道がまた雰囲気満点で良かったです。ここはぜひ、群馬原町駅から徒歩での登城がオススメです。


岩櫃城の主郭から伸びるダイナミックな竪堀

 徳島県の山間、四国遍路第21番札所太龍寺へ登る遍路道沿いに位置する「若杉山辰砂採掘遺跡」は、弥生時代後期から古墳時代前期にかけての辰砂の採掘場跡です。辰砂から作られる顔料の朱は、古代の葬送儀礼に不可欠なもので、権力の象徴とされていました。露頭掘りの跡のみならず坑道も発見されており、古代日本における採掘技術の高さに驚かされます。四国遍路をやっていた時に説明板を見ましたが、木々に覆われた山の中ということもあり肝心の採掘跡は分かりませんでした。今後は整備されたりするのかな?


遍路道から見た若杉山遺跡。採掘跡はちょっと分からない

 遍路道の追加指定もありました。「阿波遍路道」では第4番札所大日寺の境内、第5番札所地蔵寺の境内を追加、「伊予遍路道」では第43番札所明石寺境内と、明石寺から宇和の町へ抜ける山道が大寶寺道として追加されます。遍路道のみならず、札所の指定もちょくちょく増えてきました。……が、まだまだごく一部。四国遍路全体の十分な保護が完了するまでの道のりは長いですね。地道に指定を続けていってもらいたいです。


明石寺から続く遍路道に残る切通し

 遍路繋がりでは大宝年間(701〜704年)に築かれ、その後の弘仁12年(812年)に弘法大師空海が修復したとされる「満濃池」が名勝に指定されます。古代に遡る日本最古級のダム湖として有名ですね。古来より著名な名所としての風致景観が評価され、ため池として初の名勝に。


今昔物語に「まるで海のよう」と記された満濃池

 重要文化的景観の選定は「今帰仁今泊のフクギ屋敷林と集落景観」の一件。先日の沖縄旅行の際に立ち寄っており、実にタイムリーでした。今帰仁城の下にある今泊は、直線状に通された路地にフクギの屋敷林が並び立ち、沖縄の伝統家屋が数多く残る集落です。その独特な風情に重要伝統的建造物群保存地区になってもおかしくないと思ってましたが、まさか重要文化的景観でくるとは。選定範囲は今泊集落のみならず、国指定史跡の今帰仁城やその側の旧集落、国指定名勝「アマミクヌムイ」の一部であるクバの御嶽なども包括するようです。


今泊集落のフクギ並木と伝統家屋

 さてはて、今年も6月末から7月頭にかけて世界遺産委員会が開催されます。日本が推薦した「百舌鳥・古市古墳群」は既にICOMOSから記載勧告を受けており、問題なくその通りの決議になることでしょう。個人的には記載延期や情報照会の勧告を受けた案件がどうなるのか、今年も注視したいと思います。

posted by きむら at 14:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 文化財